2021年4月29日木曜日

お金は問題を増やすもと

  1995年4月、英国国協会のリヴァプール主教が英国政府に対し、宝くじを見直すように求めました。特に、賞金をもっと少額にするよう示唆したといいます。これは、ある男性が約15億円の賞金を取り損ねたと思って自殺した、という事件に対する主教の反応です。この男は、リヴァプールに住んでいた55歳のティモシー・オブライエン。

 宝くじを賭けそこなったあとに、銃で自殺しました。彼は同じナンバーを一年間、毎週賭け続けていましたが、ある週だけ賭けるのを忘れてしまいました。ところがその週に、彼が賭けていたナンバーが当たり、巨額の賞金を取りそこなったのです。

 ティモシー・オブライエンは、賞金を得ても人生が良いほうに変わったかどうかはわからない、ということには気づいていませんでした。宝くじを当てた人の多くが、その後不幸な人生を送っています。

 巨額のお金をめぐって、思ってもみなかった問題が出てくるからです。手に入れてもいないお金が原因で自殺するようなタイプであったことを考えると、巨額の賞金がかれに幸福をもたらすことはまずなかったでしょう。

 ついでながら、オブライエンの検視結果が発表された場で、彼がいつものナンバーを賭けていたとしても実際には約1万2千円しか得られなかったことが明らかにされました。

 リッチになればいろんなことができる。そんな誤った期待を持っている私たちは、大金を得ると、オブライエンのように分別を失ってしまいます。

●お金がたっぷりあれば、幸福になれるのに。

●お金がたっぷりあれば、余暇活動を楽しめるのに。

●お金がたっぷりあれば、もっと自信が持てるのに。

●お金がたっぷりあれば、もっと人から好かれ、結婚相手も見つかるのに。

 もし、こんな考えを持っているなら、お金と恐れに支配されています。お金さえ持っていれば安心だと思っていたら、これは真実ではありません。お金イコール安心なら、ほどほどのお金では幸福にはなれません。

 たくさんのお金を得ると、それを失うのではないかと心配で、やはり幸福になれません。お金が増えれば増えるほど、失うのではないかという心配も大きくなります。ところが、安心をお金に求めない人々の多くは、ほどほどのお金で幸福になっています。

 貧しくても満ち足りていれば豊かです。十分に豊かなのです。

2021年4月27日火曜日

自分自身を知る

 マズローの各階層に位置する人の典型的な状態に自分が当てはまるかどうかチェックしてみましょう。

1.生理的欲求

  ●あまりエネルギッシュではない___たいてい疲れ気味

  ●野心がほとんどない、まったくない

  ●だらしのない服装と身だしなみ、ぼろぼろの車を運転

  ●病気になりやすい____心気症

  ●集団を避けて単独で行動する

  ●自己イメージは非常に低く、社会の犠牲になっているように感じる

  ●職場での生産性は低い

2.安全欲求

  ●リスクを避ける心配性

  ●自信がなく、後ろ向きで、非創造的な人

  ●いつも自分は損していると思い込んでいる

  ●いつも自分の収入が不十分だと感じている

  ●金、引退計画、保険についてしょっちゅう話す

  ●古い車に乗る

  ●何年も前に流行した服を着る

  ●あまり生産的でない組合の支持者

3.所属欲求

  ●人当たりが良い人___誰からも好かれたい

  ●最先端だが、ベーシックな服を着る

  ●多くのクラブや組織に所属する

  ●手当たり次第宴会やパーティーに出席する

  ●常に他の人に合わせようとする体制順応主義者

  ●多くのチーム活動に参加する

  ●きちんと働くが、創造的ではない

4.自尊心または尊敬欲求

  ●外面を気にする

  ●賞やトロフィーを自慢する

  ●スポーツでは競争心旺盛

  ●無遠慮で、いつも他人の注意を引こうとしている

  ●まるで知り合いのように、有名人の名をしょっちゅう口に出す

  ●競争では誰よりも、ほんの少しでも先へ行こうとする

  ●ブランド名がごてごて書かれた派手な服を着る

  ●能力を試すような活動が好きで、クリエイティブな場合もある実行家

5.達成または自己実現欲求

  ●社会における自分の地位について自信があり、安心している

  ●人生における自分自身の目的を作り出す

  ●創造的および独立的___内面的な生活が豊か

  ●他者の視点を受け入れる

  ●地味だがおしゃれ

  ●社交的だが一人の時間も大切にする

  ●セルフ・エスティームを高めるためにモノ中毒にはなっていない

  ●友情は量より質を大事にする

 さて、自分自身はどこのランクだったでしょうか。マズローの階層の一番下か下から二番目にランクされたからといって、自分のセルフ・エスティームを失うことはありません。

 考えるべき重要なことは、自分自身を向上させる分野を探さなければならないことです。マズローの階層の一番下にさえ届かなかった人は、少し心配しなければなりません。でものぞみはあります。どんな人でも、人生のある時期にはどん底に落ちることがあるからです。

 人生において何かを達成できれば、自尊心は必ず向上します。退職の自由時間に達成することは大きくても小さくてもかまいません。

 いずれにしても、自分の自尊心をたかめるものです。セルフ・エスティームが高まれば、外に出て行って、自分が欲するものを手に入れようとする意欲も高まります。

マズローの階層

 マズローの階層を昇る 

 ここ数十年間に、いくつかのモチベーション理論が展開されています。多分、最も有名なのはアブラハム・マズローの理論です。

 人の欲求には階層があるというマズローの理論は、人生のさまざまなプロジェクトに取り組むモチベーションがどこからでてくるのかを説明してくれます。

 欲求階層論は、三つの前提に基づいています。

1.私たちの行動を左右する欲求には、明らかな優先順位が存在する。

2.下のレベルの欲求が適度に満たされるまで、上のレベルの欲求は出現しない。

3.まだ満たされない欲求によってモチベーションを得る。

 人間が追及する基本的な欲求は5つあります。下のレベルから淳に、その欲求を説明します。

●生理的欲求 身体の正常な働きに関連するもので、水、空気、食物、休息、性欲等に関する欲求

●安全欲求 危害から身を守ろうとする欲求で、危険、はく奪、脅威、不安から自分自身を守ること

●社会的欲求 愛情、仲間づきあい、友情に対する欲求、他者に受け入れられたいという欲求を反映する

●尊敬欲求 尊敬されたいという欲求。一般に、セルフ・エスティーム(自分を大切に思う気持ち)と他者からの尊敬という二つの分野に分けられる

●自己実現欲求 クリエイティブでありたい、自分の可能性を最大限に発揮したいという欲求

 あらゆる人の欲求は常に変化しています。マズローが主張したように、現在の欲求が満たされると、別の欲求が生じ、この新しい欲求が私たちを支配します。

 人生の始まりから終わりまで、私たちはいつも何かを欲しています。広告会社がこれを聞いたら、さぞ喜ぶでしょう。

 私たちが自由時間を最も楽しめるのは、自己実現ができた時です。ただし、自己実現の段階まで達しても、完全に自己実現できたと感じることは決してありません。

 完全に満足した状態は、死ぬほど退屈です。私たちは、完全に満足した状態で長くいられません。ある欲求が満たされると、次の欲求がとって代わろうと待ちわびています。

 自分の欲求を満たすためには、まず、自分に何が必要かを知らねばなりません。

 マズローはこう述べています。

「平均的な人々は、欲求を意識しているより意識していないほうが多い。しかし、適切なテクニックと見識のある人の助けがあれば、意識できるようになる。」

モチベーション

水は流れる、石は固い、モチベーションがなければ満足もない。 

  人生の満足を手に入れられるほど、十分なモチベーションがある人は、少ないが、私たちは、皆常にモチベーションによって行動しています。 それは、矛盾していないか?確かに、やる気や意欲の片りんも見えない無気力な人は大勢います。  

 ですが、私たちが行うすべてのことは、何らかのモチベーションの結果です。ただ、多くの人々はモチベーションが低く、ほとんど何もしていないように見えます。これをマイナスのモチベーションと呼びます。このモチベーションは人生の満足を得るために進まなければならない方向と逆方向に、私たちを進ませようとします。  

 マイナスの心構えとモチベーションしかない人は、自分自身の不安と過去の失敗を引きずっています。こういう人は、形だけ行動して見せているにすぎません。いつも不平不満を並べ、始めたことを最後まで完了しません。同じ間違いを何度も何度も繰り返し、何事もうまくいきません。一番悲しいのは、自分がマイナスの存在であることに気づいていないことです。  

 楽な道を選び、リスクを回避していると、だんだんモチベーションが失せ、何の活動もしなくなります。  

 失敗に対する恐れは往々にしてマイナスのモチベーションになり、否定的な反応を引き出します。そして、人生の満足が得られるようなこうどうにはつながりません。    

 自分の現状を他人や状況のせいにしている人は、結局それらに翻弄される存在に自分をおとしめています。自分の人生の質を上げるのも下げるのも自分次第だということに気づくべきです。  

 人生がもう少し楽ならもっと頑張るのに・・・という態度は禁物です。  

 人生は、今ある通りで、こうあるべきだという姿にはなりません。  

 水は流れ、岩は固く、モチベーションがなければ満足もない。ものごとを変えたいなら、自分自身が行動を起こす必要があります。  

 時には誰でも、自分の人生の責任から逃れたいという思いを心の奥底に持つことがあります。誰か別の人が、この責任を引き受けてくれないかと考えます。しかし、人生はそうはいきません。ほっておけば、何も起こらないのです。  

 自分が成し遂げたいと考える重要なことはすべて、自分自身が行わなければなりません。高みに到達しようというプラスのモチベーションを得るためには、マイナス思考を排除する必要があります。  

 プラス思考は、プラスのモチベーションで構成されています。行動を起こすための積極的な理由を見つけたとき、あなたは既にものごとを成し遂げ、満足を得る方向へと踏み出したことになります。

2020年2月15日土曜日

笑える能力

 笑える能力は、充実した人生を送るための貴重な資産です。大抵の人は、自分がユーモアのセンスを持っていると考えていますが、実際にユーモアを示せる人はほとんどいません。私が出会った人々の中には、きまじめすぎて、せっかくのユーモア精神を台無しにしている人もいます。
 
 アメリカの有名なコメディアン、ジョージ・バーンズは百歳まで生きられそうな気がしていました。九十代になってからは、百歳の記念出演契約を始めました。バーンズがこれほど長く生きられたのは、人生を通して持ち続けた前向きの心構えのためです。彼は、ユーモアで生計を立てていました。仕事によって彼の健康が増進したことは間違いありません。

 研究者によると、一日に何回も大笑いすれば、十五キロメートル走った時と同じ効果が得られるといいます。
 
 ユーモアは健康にいいだけでなく、創造性を高めるためにも効果的です。驚くべき解決法はユーモアで触発される場合が多いです。まじめさは、クリエイティブな流れを妨げます。

 たくさんのストレスやプレッシャー、深刻な状況にさらされている人は、ジョークの本を広げるといいです。なんでもいいから、一緒に笑える人と集まって笑いましょう。ふざけたことをしてっみましょう。きっと、クリエイティブなアイデアがどんどん湧き出してきます。

 我を忘れるほど何かに夢中になったことがない人は、夢中になってみるべきです。「人生は、深刻に受け止めるには重要すぎる」とはよく言われる言葉です。でも、これが意味することに注意を払った人はどれだけいるでしょうか。あなたは人生を真剣に考えすぎていないでしょうか?

 笑ったり、遊んだり、馬鹿げたりする時間はありますか?いつもいつも深刻で理性的であろうとすると、創造性を壊すことになります。きまじめすぎて、面白みのない人が、人生の生き方について驚くような新しいアイデアを考えつくことは滅多にありません。

 遊びは、クリエイティブに生きるときの中心になるものです。遊ぶこと、ふざけることは、私たちの頭を刺激する素晴らしい方法です。おもしろいことをしているときには、私たちはリラックスし、熱中しています。時には、突飛なこともしてみます。

 こういうことが、創造的な精神を触発します。

2020年1月22日水曜日

人生で本当に大切なこと

 仕事のモラルは、私たちにとってプラス面よりマイナス面の方が多いです。仕事中心、金中心の精神構造を捨てないと、幸福のために何が本当に大事かはわからないでしょう。そろそろ仕事のモラルを変える時です。このモラルのおかげで、私たちは奴隷になっています。勤労の美徳を見直すことは、とっくの昔にやっておくべきことでした。

 私たちは1980年代に適度という概念を失ってしまいました。そして、もっと多くのモノ、もっと大きなモノを常に追い求めるという価値観を育ててきました。で90年代末以降は、ほどほどの額のお金をため、もっと価値のある生活のために引退するという18世紀風の生き方が見直されています。モノを求めて働き続けるより、人としての内面的な成長を求める方が、人生の満足や幸福が増すに違いありません。

 勤労の美徳とモノに対するこだわりを強調しない。そういう時代が来ようとしています。生活のために働くことは必要ですが、たいていの人々が考えるレベルの働き方は必要ありません。物質的な目標をほどほどにすることにより、環境は驚くほど改善され、もっとのんびりした生活を楽しむことができるようになります。

 現代社会が重視している価値観にはいくつか欠点があります。もしその価値観を盲目的に信じているなら、ものごとを違う方法で見てみましょう。仕事には価値があり、遊びはくだらない、と固く信じていると、失業したときや退職したときにうまく適応できません。働いている場合でも、この価値観では人生がアンバランスになり、満足できません。

 考え方をオープンにして、仕事のモラルと物質主義に重点を置かないようにしましょう。ほどほどんに働くことには多くの利点があります。仕事から離れる時間は、新しいことを学び、人間として成長できるチャンスです。長時間働き、便利なものや気の利いたものをたくさん所有している人が、ほどほどに働き少ないものしか持っていない人よりも優れているとは限りません。また、物に執着していると、他の人々や環境から遠ざかる傾向があります。

 車や家、コンピューターなど私たちを取り巻くモノは確かに便利ですが、それ以上のものではありません。モノは幸福の源泉には成りえません。私たちが所有するモノ、住む場所、そして仕事は、重要性で言えば二次元的なものです。本当の成功は、所有するモノや仕事で測るものではありません。

 私たちのアイデンティティーはモノとは別の次元にあります。結局、重要な唯一のことは、現在、私たちがどう生きているかということです。何を学び、どれだけ笑い、どれだけの愛を周囲の世界に注いでいるか。それこそ、人生で本当に大切なことです。

2020年1月17日金曜日

退職後の目的を持つ

 退職後に、何らかの目的を持たなければなりません。

 勤勉な人は、職場では物事の進め方を承知していますが、仕事を失い、多くの自由を手にすると、とたんに自分を見失ってしまいます。高い生産性と業績から得ていた自負心も粉々に打ち砕かれます。こういう人は、生きる目的を職場に決めてもらっていたので、仕事を失えば目的も消えます。これまで、自分自身を探求し、自分は人生で何をしたいのかを考えたことが無かったのです。

 退職後、仕事がない生活では、目的を持っているかいないかは、生死を分ける事柄です。統計によると、引退した人で人生の目的がない人は長生きができません。十人のうち七人は、二年以内に死にます。永遠にこの世を去るまでに、年金を受け取る平均回数は十三回にすぎません。仕事中毒のこのような人々は、仕事を失うと目的も自負心も失ってしまいます。別の目的を持つことができれば、それが意欲の源となり、寿命もぐっと長くなります。

 自分にとって、仕事は重要なものだったかもしれません。創造性が発揮できる大切な場であったかもしれません。でも、引退した今は、自由時間を大切にするべきです。さまざまな活動も創造性を発揮出来る場所に成りえます。仕事以外の場所から、生産性や目標達成の意識を得ることもできます。

 まず、自分の目的を持たなくてはなりません。それが、創造性を活用するための第一歩です。最大の課題は、自分の内面を見つめ、目的を発見し、その目的を生きることです。
 
 仕事であれ、遊びであれ、成功をおさめている人々は自分が生きる目的を持っています。中には、次のような方法で自由時間の中に目的を見出した人もいます。

・人々の生活を改善する
・コミュニティ活動などに貢献する
・創造的な表現を見つける
・発見や挑戦に参加する
・環境保護に協力する
・人生の楽しみ方を他の人々に教える
・意欲をかきたてる課題を達成する
・健康と福祉を増進する
・個人の幸福と満足を作り出す

 退職後の自由時間のさまざまな活動に意味を発見することもできます。自分で自分に教育的使命、人助け使命、自己実現指名などを課してもいいでしょう。重要な目的があれば、活力はどんどん出てきます。ストレスは減り、生活のバランスもよくなります。

 カギは、情熱が持てる目的を持つことです。人生の究極的な目標または使命を作り出すことができれば、常に燃え上がる意欲を持ち、人生をエキサイティングで面白いものにできます。その結果、常に成長し、学習します。

 人生の目的は、自分のエッセンスと夢に基づくものでなくてはなりません。目的を持っていれば、一つ一つの課題、行動、状況が全て意味のあるものになります。

お金は問題を増やすもと

  1995年4月、英国国協会のリヴァプール主教が英国政府に対し、宝くじを見直すように求めました。特に、賞金をもっと少額にするよう示唆したといいます。これは、ある男性が約15億円の賞金を取り損ねたと思って自殺した、という事件に対する主教の反応です。この男は、リヴァプールに住んでい...