2019年12月13日金曜日

退職後の生活の切り替え

 退職や失業で自由時間がたっぷり持てるようになった時に、生活をうまく切り替えなければなりません。



 仕事の世界に入るには、普通、何年もの準備期間があります。でも、仕事の世界から離れるための準備は、ほとんど行われていません。私たちの人生が人間らしい時間を取り戻すのは、引退したときか、失業した時です。仕事が無いという世界は、まったく新しい刺激的な世界です。仕事から離れると、働いていた時とは違う方法で人生を楽しめるようになります。働かなくてもいいなら、余暇活動を思う存分たのしめる理想的な生活を送れます。これは、かつて経験したことがない生活です。

 退職や失業によって、長時間の自由時間を手に入れたとき、自分が本当はどんな人間なのかをテストされることになります。長い自由時間は天からの贈り物です。一時的に失業しているときの自由時間の使い方は、完全に引退したときと同じように重要です。仕事のない状況をうまく扱うことができれば、将来同じことが起こった時や、引退したときに、自信を持って対処することができます。

 増えた自由時間をうまく利用できるかどうかは、心構えと意欲次第です。自由時間の多い暮らしに移行することは、人によっては簡単ではありません。猛烈に働き、お金をいっぱい稼いで有名になろうとしている間は、自由時間の扱いなど学ぼうとしません。必死で働き、金持ちになり、名声を得る方法を学んでいます。余暇がたっぷりあって、人生を楽しむ機会があったとしても、仕事人間の週間はそう簡単には抜けません。

 退職や失業で仕事を失った人びとのほとんどは、そのことでかなり強いショックを受けます。何も影響がなかったという人は、よほど変わっているか嘘をついていると思います。解雇、レイオフ、退職は、どんな人にとっても最初はなかなか受け入れがたいものです。私の場合もそうでした。

 仕事と自分の仕事をどれだけ同一視しているか。それが、仕事から離れた時の落ち込みに影響します。仕事にどっぷり浸かっていた人は、仕事を失うことによって自分のアイデンティティーのかなりの部分を失ったように感じます。仕事イコール自分だった人々は、その喪失感にしばらく悩まされます。自分と自分の仕事を同一視しているからです。

 引退の時期が迫っている人々は、目標や活動が減ることを不安に思っています。でも、遅かれ早かれ大抵の人は自由時間のある暮らしにうまく適応します。不幸なことに中には「働くことはいいことだ」という価値観にすっかり染まり、仕事がないことはつらく、深いで、憂鬱だと感じる人びともいます。そのマイナス思考と変化への抵抗により、頭が固い人々は自尊心を失います。

 仕事をしないで価値ある人生を送ることは難しい、と訴える人々は、自分には個性が無いと言います。こういう人々は、人格が薄っぺらで、自分の存在基盤が自分にないことを認めているに等しいのです。

 人生の新しいシナリオを自分で書くことは誰にでもできます。最初は負け組になってしまたように感じます。でも、セルフイメージを改善すれば、認識は変わってきます。お金を稼ぎたいという目標を、自由時間を得たいという目標に変えなければなりません。

 重要なのは、自由時間の活動から何らかの達成感を得ることです。時間がたてば、自分のセルフイメージは勝ち組のそれへと変化していきます。

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