2019年12月15日日曜日

退職後の食事

 退職後は、食事が自由にできます。

 会社勤めをしていたときは、朝は、電車に間に合うように朝食を流し込んで、昼食は輪番制なら他の同僚達に気を使いながら菓子パンを慌てて貪り食い、晩ご飯は残業後の疲れた体にコンビニ弁当を入れておく、というような人もいます。健康的に社員食堂を使って、ゆっくり昼食を取ったり、夜も自炊をして体にいい物を摂取している人もいるかもしれません。

 でも、私は前述のように、食べるというよりは、仕方なく食べ物を流し込んでいました。そんなに食欲があるということもなかったので、ただひたすら食事の時間になったら、三食流し込んでいたように思います。輪番制なので、順番に食事を取るため、ゆっくりできません。自分が食事が終わったら、次の人へ食事の順番が来たことを伝え、また自分は仕事に戻る。そんな食事、ゆっくりできるはずがありません。そんな短い食事時間の間でも、上司が読む新聞をそろえたり、ポットのお湯が減っていたり、コーヒーが無くなっていたら足したり作ったり、郵便物が来ていたらデスクへ配ったり、気を使わなくてはいけないことがたくさんありました。



 時々催される誰かの歓迎会や送別会などの飲み会も苦痛で仕方ありませんでした。タバコやお酒が苦手であるだけでなく、なぜ飲みもしないのに飲み放題の料金を払わされるのか、なぜ上司のビールのジョッキと睨めっこして無くなりそうになると気を回して店員を呼ばなくてはいけないのか、なぜ同僚や上司の仕事の愚痴や他人の悪口を聞くために夜の貴重な時間を過ごさないといけないのか、なぜ飲み会に参加しない場合にも、寸志を出さないといけないのか、納得できずに毎回過ごしていました。順番で幹事になってしまった時なんて最悪です。途中で抜けるわけにもいけないし、ずっと店員と注文のやり取りばかりしていなければなりません。とにかく、飲み会は行きたくない、気持ちはずっとその一点張りでした。

 退職した今、食事は自由になりました。何時にどこで食べようが、全然構わないので、他人に気を使わなくてよくなりました。もし食欲がないなら、食べないという選択肢もあります。お腹が空いたとき、気分のまま食べられます。会社勤めだとそうはいきません。お菓子をつまむぐらいならともかく、「牛丼食べてきます。」って同僚に突然言っても呆気にとられるだけです。

 退職する前は、サプリメントを摂っていました。あまり食欲が無く、栄養が足りないように思えて、健康のため、マルチビタミンやマルチミネラル、頭の回転がよくなるDHAや、眼のためにブルーベリーエキスなど飲んでいました。普段の食事が、菓子パンやおにぎりなどそんなに高価では無いのに、サプリメントの方が贅沢なのではないかというぐらい摂取していた気がします。効いているのか全然分かりませんでしたが、安心料なのかずっと続けて毎日飲んでいました。それでも、頭痛や肩こり、体の不調がありましたが。

 退職後、なぜかサプリメントを飲む週間が薄れてきました。しっかり、ゆったりと三食自由に食事ができているからかもしれません。仕事をするために、体を壊してはいけない、健康にならないといけないという規定概念と思い込みが無くなってきたからかもしれません。まだ、頭痛や肩こり等は時々ありますが、会社勤め時代よりは無くなった気がします。やはり、会社というのは、心身壊すものだと実感します。

 退職後のクリエイティブな趣味として、料理はいいかもしれません。自分自身が暇つぶしになり、創造的になるだけでなく、家族に振る舞えば喜んでもらえるし、手を掛けて作った食事は健康的にもなります。今の時代、スーパーやコンビニで手に入るお弁当はすごくレベルが高いものであり、自炊したものと比べて何の遜色も無い、若しくは、もっと美味しかったりします。でも、買って家に帰る頃には、冷たくなってしまっています。電子レンジでチンするにせよ、できたての自炊の味と比べてなんとなく温かみが足りないような、そんな気分になってちょっと物足りなく感じてしまいます。誰かに料理を作ってもらうと無償の愛を感じるし、心がほんわり温かくなる気分がするので、料理は作ってもらうのがすごく嬉しいものです。

 退職後は、少し太ります。食事が自由になるのも、ストレスから解放されるのも、体を動かすことが減るのも、そのせいです。少し太っている方が長生きするというデータもあるぐらいなので、ストレスで眉間に皺がより、気を使いすぎる生活で体がガリガリになるよりは、ストレスの無い生活の中で、少しぐらいぷっくりなっていくのも幸せなことかもしれません。退職後、食事が自由にできるのは、何事にも変えることができない特許かもしれません。

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